The Beach Boys at Billboard Live Tokyo
ひと足早くステージに上がったメンバーがロックンロールのリズムを提示すると次の瞬間、マイク・ラヴが登場して「恋のリバイバル」を歌い始める。しばしばオープニングに使われるこの曲からは、老い知らずザ・ビーチ・ボーイズの常なるチャレンジを感じずにはいられない。 昨年、結成50周年を迎え、ブライアン・ウィルソンを中心としたオリジナル・メンバーで『ゴッド・メイド・ザ・ラジオ~神の創りしラジオ』をリリース。来日公演の記憶も新しい中、マイク・ラヴとブルース・ジョンソンを中心としたメンバーでの公演が3月26日、27日ビルボードライブ東京で開催された。
2曲目以降も惜しげなく披露される大ヒット・メドレー。マイクがステージ狭しと最前列のファンとのハイタッチを繰り返せば、ブルースは両手を指揮者のように振り回し最上階の観客を煽る。途中ファンから花束が手渡されると、マイクが「ドウモアリガトウゴザイマス!」と日本語で応じ、場内からは再来日歓迎の拍手が一斉に沸き起こった。
いつもながらハーモニーにはうっとりだ。美しいのはもちろんのこと、「アイ・ゲット・アラウンド」などにおける複雑に絡み合ったスリリングさ、「夢のハワイ」などで披露される掛け合いの楽しさなど、聴く者を魅了する仕掛けはまさにイリュージョン。箱の中の美女が消えるのが分かっていながら騙されるように、知っている曲なのに何度でもワクワクさせられる。
場内は「グッド・ヴァイブレーション」や「ヘルプ・ミー・ロンダ」で大合唱の渦。ラスト「サーフィン・U.S.A.」へ向う怒涛のクライマックスでは、年齢40~50代中心の観客が総立ちに。3年連続でビーチ・ボーイズを観ている筆者だが、終盤を察した寂しさからか、まだまだ元気なマイク&ブルースに姿に感動したからか、ここで思わず涙が…。アンコールの「ファン・ファン・ファン」を聴き終わっても、名残惜しくて立ち去れない自分がいた。
Text: 久保木靖(jazz guitar book)
Photo:Masanori Naruse
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